中野民夫の世界

最近の出来事、これからの主催・登壇イベント- News ・ Event -

定年退職から2ヶ月、あっという間に別世界へ。

 3月末で東工大での勤めを終えてフリーになったものの、4月はいろいろと忙しかった。少し振り返ってメモしてみます。

 4月5日には福岡のクロちゃんのオープンダイアローグの研究会で、精神科医の斎藤環さんとオンライン対談させていただいた。当事者本人が対話に参加するのは本当に大事。

 8日には見田宗介/真木悠介を継承する東大駒場でのシンポジウムで、『気流のなる音』の「心のある道をただ歩く」をテーマにした新曲を歌わせてもらった。研究者が司会や講演をやると話は長くなりがちで、朝から晩まで8時間半の濃い会になりました。

 9日には『すべては一人から始まる」(トム・ニクソン著、英治出版)で紹介されたピーター・カーニックさんが来日されていて、吉原史郎さんと横山十址子さんの司会で対談させていただいた。お金はその人がどう捉えているかの反映だなどのマネーワークも興味深かった。本当に好きなことをやっていれば、お金がついてくるかどうかはともかく、必要なことは起こる、ということを皆で確信した。

 4月はUPAYA禅センターのジョアン・ハリファックス老師が久しぶりに来日され、コンパッションをテーマにしたセミナーに参加させていただいたり、医療関係者など対人援助職の方が共感疲労や燃え尽きから自分を守りながらコンパッションを育むGRACEプログラムの京都での3日間の合宿(対面)のファシリテーターを担当させていただいた。2015年から奈良で合宿して学びを積み重ねてきた日本の医師・看護師・臨床心理士・瞑想指導者・研究者などのチームが、日本GRACE研究会で見事に受け継いできていて、対面・オンラインで200名の参加があった。熱心な参加者とのやりとりで、80歳になる老師も生き生きと嬉しそうで、実り多い合宿になった。

 また4月21日から24日は鹿児島での「薩摩会議」に参加した。野崎恭平さんらSELFの皆さんが長年準備を重ねてきた凄い会議で、明治維新から150年経ち、この先の150年をどうするのか?という問いかけに、この社会をもっと良いものにするために様々な実践をしている若者たちが全国から数百人も集まり、久々の対面の集いでもあり、3日間大いに盛り上がった。若い人々の新たな試みの数々に感動し、未来は大丈夫だ、と思える集いだった。

 初日の基調セッション2で、ゴリラ研究で名高い山極寿一先生(京都の地球研所長、元京大総長)と、屋久島で流域プロジェクトを展開するモスオーシャンハウスの今村祐樹さんとのセッションを、モデレータ役として登壇させていただいた。各地で社会変革に奮闘している人々に、「今日も一日お疲れさま、よく頑張ったよね。少しは誰かや世界のお役に立ったかなんてわからないけど、結果じゃないよね」「今ここ心のある道ただ歩いていこう」などの「日はめぐり、いのちAlive」歌詞がピッタリだなと、冒頭やクロージングでも歌わせてもらった。最後には皆で大合唱になったのは嬉しかった。4日目のオプショナルツアーでは、鹿児島の多様な現場を見に行くツアーが用意され、僕は竹林の活用を国際的なプロジェクトで取り組んでいるところを訪ね、実に興味深かった。

 ゴールデンウィークは、自宅の裏にある家庭菜園を準備して、夏野菜の苗や種をたくさん植えたり、家族と武蔵野の新緑を楽しんだ。

 連休明けて、平日の朝から絵画教室に出かけ、通学する多くの大学生とすれ違い、まだまだ新学期で去年などは実に大変な時期だったことを思い出し、引退したことを実感した。今も東工大のリベラルアーツ研究教育院の元同僚は新入生の立志プロジェクトなどでおおわらわだろうな、それにしても本当に忙しかったよな、よくやっていたよなあ、と感慨深く思った。

 5月中旬からは屋久島へ。システム思考でご活躍のChange Agentの小田理一郎さん主催のある合宿に集ったメンバーから、大村和広さんら有志の8人が本然庵にやってきた。「めぐる屋久島めぐる旅」と題して3泊4日のリトリート。到着時が激烈な豪雨で、飛行機が引き返してしまうなど大自然の洗礼を浴びながら始まった。ペアでこれまでの人生をシェアしあったり、焚き火を囲んだり、ヨガや気功、料理を交代で作り、深い霧の森をゆっくり歩いたり、川が海に還る浜を楽しんだり、歌や食事やお酒やおしゃべりを楽しんだ。刻々と変化する天候に合わせながらの共同生活・自然体験を満喫した。屋久島に初めて山尾三省さんを訪ねてから40年の経験を分かち合いながら、人と人、人と自然、人と自分自身がつながり直し、つながるいのちを生かした社会での新たな活動に戻っていく場を創り、ゆるくファシリテートする。そんなエコスピリチュアル・ツアーのガイドはやっぱり天職だよなあ、オレ好きだし、けっこう得意、と再確認した次第でした。集まってくださった皆さん、ありがとう。以後、一人でキッチン片付けたり、本然庵の手入れをしています。最高にきれいになった頃、いつも東京に帰ることになるのが残念!

 そんなこんなで、引退から2ヶ月、流れにまかせて楽しく展開しています。6月は3週間アフリカへ。象好きな妻の企画でサファリなど。どんな旅になるか、楽しみです。